家を建てるまでと土地家屋調査士

ここでは、住まいを新築される場合の手続きを例にとって、その流れの中で、どのような資格(業種)がどのように関わるかを見てみます。

①土地を探す…不動産業者(宅地建物取引士)

家を建てる土地が決まっていない場合は、まず土地を探すことから始まりますが、土地探しや売買の仲介の相談は、一般的に言う不動産会社の業者さんにすることになります。宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引を業として行うには、宅地建物取引士の資格が必要です。

②適正な土地にする…行政書士、土地家屋調査士他

購入したい土地が見つかったからと言って、必ずしもそのまま購入しても良いとは限りません。
たとえ既に建物が存在している土地でも、追加での新築や建替えが出来ないことも、あるいはすぐには売買できないこともあります(地目が農地のままである、市街化調整区域であるなど)。
そのような土地の用途の制限は、主に法や条例に基づき、行政が管理しています。
建築に関する制限があるのか、そして、制限があった場合に行政に対して行うべき手続きは、行政書士が担う分野になります。
と言っても、不動産業者を介して土地を探していた場合は、不動産業者の方で行政書士に依頼されることが多いと思われます。

また、土地の位置形状に関して、登記記録や地積測量図を調べたとしても、その記録が経年変化により現況と異なっていたり、あるいは元から誤っていることもあります。
登記記録における土地の内容(位置形状など)が現況と異なっている場合には、どのように異なっているか、そしてどのように直すのかを調査した上で、所轄の法務局に登記申請することになります。
このような、不動産の位置形状に関する記録(=表示に関する登記)の申請手続きを代理するのが土地家屋調査士の業務です。
現況測量を行い、必要に応じて隣接土地所有者との立会を経て、土地の境界(筆界)を確定させ、登記に反映させる登記申請を行います。
この際に、土地を分ける分筆や、逆に1つにまとめる合筆、地目を変える地目変更も行う場合もあります。

③適正な取引を行う…司法書士

土地の売買が成立すれば、登記上の所有権者も移転させる必要があります。
また、その土地を担保としてお金を借りるため、抵当権の設定を登記することもあるでしょう。
これらは「権利に関する登記」に該当し、その業務は司法書士の専門分野となります。

③建物を決める…建築士

以上の流れと並行して、実際に建てたい建物を決めていきます。
建物の設計や、建築確認申請など建物の工事に関する手続きは、建築士の資格を持った設計事務所や建築業者が行います。

④建物を登記する(1)表題登記…土地家屋調査士

建物が完成したら、その建物を登記します。
持ち主を登記するのはもちろんですが、その前に、やはり建物の内容そのものを登記する必要があります。
これが「建物表題登記申請」と呼ばれる手続きで、土地家屋調査士が行います。
完成した建物の実際の様子を現地確認した上で、建物の位置、種類や構造、床面積を、建物図面及び各階平面図と共に登記申請します。

⑤建物を登記する(2)所有権保存登記…司法書士

建物の表題登記が完了すると、ようやくその所有権を登記することが出来ます。
新築した建物の場合は、所有権が初めて登記されることになり、「所有権保存登記」と呼びます。
これも権利に関する登記に該当するので、司法書士がその業務を行います。

このように、家の新築ひとつをとっても、様々な法的手続きと、その手続を行う資格が関わることになります。
が、実際には、不動産業者や銀行などが各業者を仲介することが多く、建築主自身で全てを探す必要はほぼありません。