地面の杭や鋲は何のため?

地面に打たれた色々な「印」

外を歩いていると、道ばたや地面に色んな印が打たれているのを見かけます。
これらの印の持つ意味は様々ですが、そのいくつかは、土地家屋調査士の仕事に深く関わりがあります。

①土地の境界

その内のまず一つが、土地の境界を表す印。
何もない平地であればもちろん、塀や溝で区切られていても、そのどちらがわが土地の境界なのかは、そこに接する土地の持ち主にはとても重要なことです。
立会など適正な手続きで土地の境界(筆界)が確認されると、土地家屋調査士は通常、確定した境界位置に境界標を設置させていただきます。
境界標の種類はその状況によって、コンクリート杭から金属鋲、金属プレートなど様々です。

境界標を設置すると、その場所をいつでも復元できるよう、調査士は測量を行います。
そして測量成果に基づいて地積測量図を作成し、必要に応じて、分筆登記や地積更正登記申請の添付情報として法務局に提出します。
万が一、境界標が何らかの原因で失われたとしても、法務局に備え付けられた地積測量図が有れば、これを正しい筆界点として、測量によりその位置を特定することが出来ます。

正しい手続きで設置された境界標は、故意に抜いたり壊したり、動かしたりしてしまうと、法律違反に問われることがありますのでご注意ください。

②街区基準点

もう一つ、調査士との関わりの深いのが、街区基準点と呼ばれる印です。
これらは土地の境界を測量するときの基準として設置されており、多くは金属標や金属鋲で、アスファルト道路内や、コンクリートの構造物(溝や壁など)に設置されています。

これら街区基準点は、もっと大きな基準である三角点などの国家による公共基準点を基準にして設置されており、「世界測地系」と呼ばれる、地球上の位置を表すことのできる座標値を持っています。
土地を測量するときは、街区基準点が近くにあれば、それを基準にした座標値を求めることで、近隣の土地との位置関係を正しく把握することができるようになります。

③器械点

境界点でも街区基準点でもなく、ただの鋲が地面に打たれていることもあります。
これらはおそらく、誰かがその近くの土地や建物を測量したい時に、個人的に設置した点です。
街区基準点が近くにない場合は、このように自分で設置した点を基準にして測量が行われます。
多くは金属鋲で、赤や青の傘付きであることもあります。
アスファルト道路内やその端付近でよく見かけます。